IT業界は転職が多い。転職をすれば、残された人の誰かが業務を引き継がないといけない。
担当業務が簡単な場合は引き継ぎにそれほど苦労はない。しかし長年の間、担当業務を多く抱えていたり、全くシェアされていない独自のやり方で業務を行っている場合、引継ぎは大変だ。
さらに自主退職ではなく、会社の都合によって退職させられた人の引継ぎ業務はより困難を極める。
何故なら、全てを引き継いでもらえないからだ。
私は運が悪いのか、何十年も同じ会社のエンジニアとして勤めた社員(Aさん)の引継ぎ業務を命じられた。
業務量的に私1人では難しいと難色を示したが、チームの誰かが出来るタスクもあるかもしれない、と引き継ぐ業務の全てのタスクを精査して欲しいと要求してきた。 つまり、全ての業務を把握してないから私が調べてリストにまとめてと要求をしているのだ。
なんで上司なのに業務内容を把握してないのかとても不思議である。 大変なの分かっているならばAさんを辞めさせなければいいのでは、と思った。
どうやら上司はその自分より長年勤めているAさんを嫌いらしい。どちらも勤続年数を重要視しているのか、Aさんは上司の指示に従わず、自分の正しい方法で業務を遂行して結果を出している。上司はそのことが気に食わないようだ。
もしこんな下らないことが退職理由なら勘弁して欲しい。Aさんが辞めることで今まで通り業務を滞りなく進められなくなる上、既存メンバーのタスク量も増える。そこまでして自分の不満を解消する意味はあるのだろうか。自分だけ幸せならそれでいいのだろうか。
といっても結局退職は決定事項なので判断は覆らない。したがって引き継ぎ業務を引き受ける羽目になってしまった。
不運の始まりだ。
辞めさせられるAさんの業務はタスク量が多く、1つ1つ具体的な内容を覚えていないことが発覚した。最近のは覚えているが1年に1回の作業はその時々に思い出すらしい。
最初はわざと引継ぎをしないで私を困らせようとしているのかと思ったが、本当に覚えていないみたい。どうしよう。
これが本当なら、私が実際に業務を引き継げるタイミングはその業務が発生した時だけだ。 その時にもしAさんがもう退職している場合どうするんだろう、と思いつつ引き継げる範囲から片付けていくことにした。
確認したら引継ぎ資料が1つもない。
資料の作成をお願いすることにしたが、一向に着手してくれない。 何度もお願いして用意してもらった業務引継ぎリストはとてもシンプルだった。XXの保守・運用、XXの開発・設計、XXの予算管理、等々と1行ずつ書いてあるだけで、各項目に伴う実作業の説明が皆無だった。
自分で調べて検証して得た知識は自分の中にしまっておきたいもの。自分で発見した効率の良いやり方やタスクの処理方法は、他の人に共有したくないのはよく分かる。資料に残さないで自分しかできない状態を作り上げることで価値を見出す気持ちも理解できる。
だからといってこれは不親切すぎる。
辞めるAさんに頑張ってもっと具体的な資料を作ってもらうよう上司にお願いしても、上司は業務内容を把握してないので、具体的にどういう指示をしていいのか分からない様子。
会社都合で辞めさせられるだから引継ぎに消極的になっているのかも。だが、いざ業務が発生した時にその作業が1人で上手く出来ない場合は私の責任になるので、教えてもらわないと困る。
そしてこのような状況を許してきた上司は責任を取らない。もうどうしようもない。
資料があって当たり前だと思ってはいけないと思い知らされたのはこの時からだった。
今までの運用上、各業務アプリの管理パスワードを全く変更をしていなかったことに気づいた。
退職日が近いAさんにパスワードを聞きに言ったら覚えてないと一言。リスト管理もしておらず、その業務が必要になった時に思い出すと、上記と同じ理由。
これは業務に多大な影響を与えると判断したので、上司に報告。Aさんの業務に関わったメンバーと一緒にAさんと話してパスワードを確認して欲しいとお願いしたが、何故か何も対応してくれない。
今まで何もしていなかったのが部署のメンバーに露呈するのを嫌がってるみたい。そんなこと周知の事実なのに、それを気にしてか、全く行動しない。
これだと困るので私が部署の全員に協力を求め、過去の案件とその関係者をリストアップしてもらった。 Aさんに少しでも思い出してもらうよう、1つ1つ確認する時間を設けて、時間が許す限りリストを埋めていった。
危なかった。もしパスワードが無いと改修に多大な工数がかかってしまうので、それは絶対に避けたいと思った。
引継ぎリストに無い、過去に引き受けた業務がいきなり浮上してくる。Aさんは「そんなのもあったね」のような態度。
去る人間にとっては知ったこっちゃないかもしれない。しかし残される人間にとっては一大事。
まともな引継ぎ環境でないことをチームの皆様に周知徹底し、皆さんにも不幸が降りかかってくるかもしれないことを説明することが大事だと思った。
皆に状況を理解してもらわないと私が全て責任を取らせられる可能性が大いにあるので、それを避ける為に大騒ぎをする。 得体の知れない業務を引き継ぐのは私。黙っていたら誰も助けてくれない。
満足に引き継ぎができてない業務を担当する羽目になっているのだから、せめて他の人にこのような状況下にあることを知ってもらうよう宣伝するべきだ。
因みに、
会議を設定し、部署の皆に集まってこの事を報告した時、皆さんそれ程驚いていなかったことに私が驚いた。
この状況を知っていて関わりたくないから敢えて放置していたように思えた。
うーん。確かに仕事を率先して増やしたいと思う人はいないだろう。
この職場では関わり合いを避けるのが生存確率を上げる方法のようだ。
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